NICE PEOPLE
放課後まち美化プログラム!毎日ゴミ拾いするなかで見えてくること。
栄町にある長崎女子商業高等学校。1969年から50年以上、生徒の皆さんがまちの清掃活動を続けています。
毎日まちを綺麗にしてくれている生徒の皆さんを取材しました。
長崎女子商業高等学校の皆さん
ー毎日ゴミ拾いをされているんですね。
生徒さん:
はい。毎日放課後、交代制でゴミ拾いをしています。クラスごとに持ち回りで、4人1班でやっています。
ー活動範囲はどのあたりですか?
生徒さん:
旧県庁から、旧市役所の間の歩道を清掃しています。
ー結構広い範囲ですね。
生徒さん:
そうですね。なので、今日は旧県庁側、次の日は旧市役所側など、清掃範囲を分けながらやっています。
ーどんなゴミが多いですか?
生徒さん:
一番多いのはタバコです。他に気になるのはマスクです。マスクは特に植木の中に捨てられていることが多いです。
ー長崎市の街中にはゴミが多いと思いますか?
生徒さん:
そんなに多くはないかな?と思います。みんな、観光地ということを分かっているんじゃないでしょうか。ただその分、植栽の中など見えないところにゴミが隠れていたりします。
ーちりとりが2種類あるんですね。
生徒さん:
はい。燃えるゴミ用とプラゴミ用です。分別しながら拾っています。
ー普段から環境に関することで、意識していることはありますか?
生徒さん:
マイバッグを使ったり、インターアクトクラブ(部活動)の一環でペットボトルのフタ集めをしています。
※エコキャップ運動(ペットボトルのフタ集め)
…ペットボトルのフタを収集し、そのリサイクルで発生した利益を、発展途上国の子ども向けワクチン代として寄付することを掲げている運動。
担当の熊谷先生にもお話を伺いました。
熊谷 圭輔 先生
(3年学年主任/英語科主任/生徒会主任)
ーこのゴミ拾いは、長崎市の「アダプトプログラム」の一貫だそうですね。
熊谷先生:
はい。長崎市と協定を結び、市からは袋や清掃用具を提供いただいています。
アダプトプログラムが始まった2001年度から協定を結んでいます。
アダプトプログラムとは
アダプトプログラムとは市民と行政が協働で進める「まち美化プログラム」です。アダプト(ADOPT)とは英語で「~を養子にする」という意味です。一定区間の公共の場所を養子にみたて、市民が里親となって養子の美化(清掃)を行い、市がこれを支援します。市民と行政が互いの役割分担を定め、両者のパートナーシップのもとで美化を進めています。
長崎市では、「長崎市市民協働環境美化推進事業」として、アダプトプログラム制度を導入しています。
ーいつからゴミ拾いをされているんですか?
熊谷先生:
実は、アダプロプログラムが始まるずっと前から清掃活動に取り組んでいます。1969年からこれまで、約50年近く続けています。当時の生徒会の発案で始まった取り組みで、現在も生徒会が主体となっています。
ー50年近く!すごいですね。
熊谷先生:
学校伝統の取り組みなので、生徒にとっては「当たり前のこと」になっているかもしれません。
ー毎日のゴミ拾いの他に、文化財の清掃もされていると伺いました。
熊谷先生:
はい、シーボルト宅跡、興福寺や松の森神社など、本校周辺に点在する文化財を中心に清掃活動を行っています。
ーどのような目的で文化財の清掃を始められたのでしょうか。
熊谷先生:
毎日のゴミ拾いも文化財の清掃も、基本的に「地域貢献」を目的としたものですが、文化財を実際に訪問することで、歴史的背景を理解するきっかけになるとも感じています。
長崎には数多くの歴史的文化財があるにも関わらず、その多くについてあまり知らないということを痛感しています。
ーゴミ拾いや文化財の清掃は、生徒さんにどのような影響を与えていると思いますか?
熊谷先生:
時折、地域の方や観光客の方に感謝の言葉をいただくこともあります。環境保全に貢献しているという結果が見えにくい活動の中で、そういった経験をすることによって少なからず「誰かの役に立っている」と実感し、自分たちの活動や存在意義を実感できるのではないかと思います。
それと同時に、普段は何気なく過ごしていて気づかない街の様子が、実はこんなにもゴミが多くて汚れていて、マナーに欠ける人がいるのだと気づくきっかけにもなっていると思います。自分たちの行動を見直すいい機会でもあるのかなと思っています。
最後に生徒さんに伺いました。
ー毎日清掃活動をする中で、気づいたことや感じることはありますか?
生徒さん:
タバコのポイ捨てが多いので「マナー」が気になるようになりました。
生徒さん:
あと普段から地面を見て歩くようになりました(笑)
ーどうすればゴミが減ると思いますか?
生徒さん:
タバコのポイ捨てが多いので、歩きタバコしないよう呼びかけることが大切だと思います。
生徒さん:
あとはできるだけ食べ歩きしないとか…。お店の近くにゴミが散らかっていることが多いので、ゴミ箱があった方がいいんじゃないかな?と思うこともあります。
生徒さん:
ゴミを拾うたびに、自分たちはマナー違反しないようにしよう、という気持ちになります。まず自分たちがマナーに気をつけながら過ごしたいです。
ー生徒の皆さん、熊谷先生、ありがとうございました!