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地域エネルギーで目指す、脱炭素なまちづくり

地域エネルギーで目指す、脱炭素なまちづくり

(株)ながさきサステナエナジー 塩塚社長・加藤さん

脱炭素なまちづくりを目的として誕生した、自治体新電力会社「(株)ながさきサステナエナジー」。
長崎市の地域エネルギーの特徴や現在の電力供給の状況、今後の展望などを伺いました。

(株)ながさきサステナエナジー
加藤さん(左)・塩塚社長(右)

ーながさきサステナエナジー設立の経緯を教えてください。

塩塚社長:
ながさきサステナエナジーは、「脱炭素なまちづくり」を目指す長崎市の取り組みの一環として誕生しました。
長崎市はこれまで、地球温暖化対策実行計画を策定し、温室効果ガス削減に向けた様々な施策に取り組んできました。
その中で、地域のエネルギーを地産地消し、CO2削減につなげる地域エネルギー事業体の設立が、環境保全だけでなく地域経済の活性化にも寄与するとの結論に至ったんです。

この理念に共感した地元企業と長崎市が共同出資し、ながさきサステナエナジーを設立しました。弊社の事業を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していきたいと考えています。

(設立時)左:長崎市 田上 富久市長 右:代表取締役社長 塩塚 武

ー長崎市のエネルギー地産地消の特徴、他の自治体にはないポイントを教えてください。

塩塚社長:
長崎市では2つの清掃工場で発電をしているほか、メガソーラー(太陽光)設備も保有しており、他地域と比較すると地産電源が豊富です。
ながさきサステナエナジーが扱う地産電力は、全量がゼロカーボン電力(CO2排出量は実質ゼロ)となっています。

ながさきサステナエナジーの事業内容

清掃工場に発電設備があるところは、まだ少ないんです。
長崎県内で脱炭素なまちづくりを目的として設立された自治体新電力は、長崎市のながさきサステナエナジーが初でした。

ー計画では、スモールスタートから始めて、2025年ごろに自治体新電力拡大・2030年以降に脱炭素なまちづくりとありますが、現在の状況はいかがでしょうか?

加藤さん:
関係するみなさまのご協力により、計画通りに進捗中です。長崎市が2023年度に「脱炭素先行地域」に選定されたことでも、計画実行が加速化しています。

ー現在はいくつの施設に電力供給されていますか?

加藤さん:
2024年12月時点で、小中学校92校、庁舎をはじめとする公共施設69件に供給しています。
小中学校は現在、高圧電力の施設のみ供給していますが、いずれ低圧電力の小中学校も整えていく予定です。

電力を供給している公共施設

ー現在は学校や公共施設のみへの電力供給化ですが、今後市民への供給もあるのでしょうか?

塩塚社長:
先行地域エリア内への電力供給先拡大とその優先順位、スケジュール等について検討しています。

ー2025年頃に「新たな脱炭素化事業創出」を予定されていますが、具体的にどのような事業になるのでしょうか?

加藤さん:
直近の計画では、まず新たな再生可能エネルギー開発として、太陽光発電事業を開始します。並行して、「脱炭素」をキーワードに、地域内で連携関係を構築しています。

ー自治体新電力で、注目している他の自治体はありますか?

加藤さん:
同じ九州エリア内の同業他社は、特に注目しています。
自治体新電力はそれぞれの地域特性を生かしており、電源構成や地域課題も異なることから競合がありません。
なので、横のつながりを築きやすいんです。

九州エリア内では、年に4回、自治体新電力が集まる定例会を実施し、経験とノウハウを積極的に共有しています。

ー最後に今後の目指すビジョンを教えてください

塩塚社長:
長崎市が時津町ならびに長与町と策定している「長崎広域連携中枢都市圏地球温暖化対策実行計画(2023年10月)」の中に、長崎市エネルギー版地域循環共生圏イメージがあり、それを羅針盤にしています。

(図)長崎市エネルギー版地域循環共生圏

長崎港湾まわりのカーボンニュートラルの計画のほか、令和8年度に東工場(焼却施設)も建て替え予定です。建て替え後は、得られる電力が大幅に増える見込みです。

電力が増えると、その分供給もできるようになります。再エネ・省エネ・蓄エネを拡大し、「脱炭素なまちづくり」を実現していきたいと思います。

ー塩塚社長・加藤さん、ありがとうございました!