NICE PEOPLE


自然の中で学び、感じ、興味を持つ。
田手原町にある「自然のあそびば へんちくりん」。竹林をフィールドに、子どもから大人まで様々な自然体験活動ができます。
代表の豊田さんに、自然体験から考える環境問題について、お話を伺いました。


自然のあそびば「へんちくりん」
豊田 菜々子さん


ーNPO法人 環境保全教育研究所を立ち上げたきっかけを教えてください。
豊田さん:
始まりは、大学生の時に関わっていた生活キャンプです。小学生たちと2週間一緒に過ごすプログラムに参加しました。
その時、子どもも大人も気軽に自然体験ができる場所や、環境活動が出来るきっかけがもっとあればいいなと思ったんです。
環境保全活動に興味のある人たちが関われるものを作ろうと思い「環境保全教育研究所」を立ち上げました。



ー主な取り組みを教えてください。
3本柱で取り組んでいます。
①子どもから大人まで、誰でも自然環境教育を体験できる「自然のあそびば へんちくりん」の場づくり
②環境保全の視点から考える「里山保全事業」
③自分たちの生活の課題を自分たちで解決していくことを支援する「地域コミュニティサポート」


ー学生の頃にNPO法人を立ち上げられたそうですね。学生だからよかったこと、学生だから難しかったことはありますか?
豊田さん:
学生だからよかったことは…先のことをあまり深く考えずに、思い立って行動できたことだと思います。
学生だから心配されることも多く「せっかく大学に行ったのに、企業に就職せずに不安定な道を選んで何をしているのか」とよく言われました。

ー持続性のある活動にするためにはマネタイズ(収益化)は重要だと思います。どのように乗り越えましたか?
豊田さん:
まず、可能な限り、助成金を活用しました。
体験プログラムを提供する際は「講師派遣」など行政の制度があります。それも活用しました。
一般の企業が当たり前にしていることだと思いますが、仕事として成り立たせるために、提供するプログラムの質や内容の見直しは行なっていました。「費用に見合った内容になっているか」「次もしたいと思っていただけるか」は常に意識してきました。
そして、何より、自分たちの努力だけではなく、周りの方の応援と協力があったからこそ続けられています。
へんちくりんの活動が続けられるように皆さんが考えてくださって、仕事につながりそうなお話を紹介してくれることもあります。地域の学童や、自治体も、環境に関する相談事が出たときに相談しにきてくれます。
地域のかた、周りのかたの深い理解と、関係性があったから仕事として継続できています。
ー設立から15年を迎えるかと思いますが、活動の中で気候の変化・地球温暖化の影響を感じることはありますか?
豊田さん:
かなり暑い日が増え、野外活動する際に熱中症対策にものすごく気をつけなければいけなくなりました。また、そうめん流しに使う水道水がぬるくなりすぎてしまって…そうめん流しがあまりできなくなったことは残念です。
ー自然体験の参加者はどのような方が多いのでしょうか?
豊田さん:
未就学児から社会人まで幅広い年齢層の方が参加しています。長崎市内はもちろん、県内の遠方からも参加してくださる方もいらっしゃるんです。
子どもも大人も、生きものや自然が好きな方が多いです。自然を大事にしたいと思う方が沢山いて、嬉しいです。





ーへんちくりんの活動をどこで知って申し込まれるのですか?
豊田さん:
紹介やInstagramからのお問い合わせで参加される方が多いです。
それ以外では、学童保育や保育園、幼稚園、放課後クラブからの依頼で体験プログラムを組むこともあります。

お子さんが気に入り、へんちくりんに来たのはこれで3回目。
ー子どもや学生の環境に対する考え方について、感じることはありますか?
豊田さん:
特に今の10~20代の方は、地域課題に対する認識や意欲が高いと感じます。地域の課題に取り組むときも、楽しみながらやっている姿が見えますね。
「課題=つらいもの」ではなく、「こうしたらもっと良いものになるよね」という考え方ができる子どもたちや学生たちが増えているように思います。



気になる環境問題は、自然が廃れて、動物が山から降りてきてしまっていること。
へんちくりんでの経験・スキルをかわれて、学童での自然体験でスタッフとして参加したことも。
ーかつてのご自身のように、何かしたいと思っている学生がいたら、どのような声をかけますか?
豊田さん:
もしやってみたいことがあるなら、成功しても失敗しても、どちらでも後悔することは無いと思います。
逆に、やりたいことを我慢してやらない方が後悔が残るのではないでしょうか。上手くいったことも失敗も自分の経験になるので、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
一方で、自分で選んだ選択は自分自身の責任で選んでいるということを忘れないでほしいです。どんな結果になろうとも、周りの環境や誰かのせいにはしない、ということを私はいつも大事にしています。
ー多くの方に地球温暖化などの環境問題に関心を持ってもらうには、どうすればいいと思いますか?
豊田さん:
難しいですね…。好きなことや普段の生活に関連する環境問題について知ることが、良いきっかけになるのではと思います。
身近な例でいくと「プラスチックストローが紙ストローになって飲みにくい問題」から関心を持つなど。今まで当たり前だと思っていたことが、環境問題で変わっていくということをあらためて認識すると関心を持てるのではないでしょうか。

豊田さん:
あとは「へんちくりん」での体験を通して、自然を身近に感じることで、環境問題に興味を持ってくれると嬉しいですね。