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【イベントレポート】働く人と社会をつなぐ対話会「メディアを通じて、私たちの未来をつくる!」
2023年3月21日、ゼロカーボンシティ長崎ポータルサイト「NAGASAKI NICE PEOPLE」の公開を記念し、オンラインイベントを開催しました。
テーマは「メディアを通じて、私たちの未来をつくる!~気候変動を解決するために、市民、企業、ステークホルダーが共創関係を築く架け橋になる~」。
長崎市の活動を紹介するほか、「気候変動の解決に向けて、一人ひとりが当事者意識を持てる社会をつくりたい!」という思いを持って取り組むリーダーによるゲストトークが展開されました。
「今、社会で何が起こっているのか」
「気候変動の解決に向けて、なぜメディアの力が必要か?」
「メディアを通じて、一人ひとりが気候変動の問題とつながるためにどのような活動を行っているか?」
対話を通じて自分と社会との重なりを考える場を目指し開催しました。
プログラム構成
当日のプログラムはこちら!
第一部:長崎市の取り組み紹介
1.共同開催の背景
2.長崎市の取り組み
第二部:ゲストトーク
1.なぜ、社会とつながるのか
2.ゲストトーク
第三部:対話
1.グループ対話
2.ゲストを交えた全体対話
登壇者
【ゲスト】
一般社団法人Media is Hope 共同代表:名取 由佳 氏
1990年東京都出身。大学卒業後夢だったエンターテイメント企業にてイベントの企画やVIP対応、新人育成など5年間勤務。「本当の幸せや豊かさとは?」を考えるようになり気候変動や社会課題に対する危機感が強まり2019年に退職。2019年より気候変動解決に向けた新たな価値の創出や社会システムの構築に向けて奮闘中。1400名以上が登録する環境活動コミュニティ「Green TEA」の立ち上げや運営、ほか団体や活動のキャンペーンのサポートなどを行ってきた。
2021年、気候変動報道を活性化するためにメディアを支援・応援・サポートする団体「Media is Hope」を任意団体として発足し、2022年6月に法人化。現在はMedia is Hopeで主に対外的なコミュニケーション、ブランディング戦略を担当。
これまでVogue Japanやジャパンタイムズ、岩波書店の世界など、さまざまなメディアに掲載や寄稿。団体や自治体、大学での講演なども行っている。
名取さんはファッション誌やニュース番組にも自ら積極的に出演し活動されています。
【トークセッションパートナー】
長崎市 環境部ゼロカーボンシティ推進室 / 浜辺 智彰 氏
【ファシリテーター】
ソーシャルアクションカンパニー株式会社 / 薄井 大地 氏
株式会社ジェイフィール / 山中健司 氏
コンセプト
まずはファシリテーター薄井氏より、トークセッション・対話会のコンセプトが紹介されました。
薄井氏「今回は、自治体・メディアにフォーカスをあてた対話会です。一人の有権者として、一人の住民として、自分のアクションがこのように変換されていくんだと気づき、見つめ直す機会にできたらいいのではないかと思っています。
自治体の職員の方と、メディアを動かすための活動をしている方が一緒に話す機会はなかなかないので、ぜひお楽しみいただければと思います。」
続いて、長崎市の取り組み紹介です。
主な取り組みが紹介されました。
これまでずっと続けてきた「ながさきエコライフ」の取り組み。
キャッチフレーズの「だれでも・いつでも・簡単に エコライフ」とともに、ながさきエコライフ・フェスタ、ながさきエコライフ・チャレンジ月間、ながさきエコネットの3つの取り組みが紹介されました。
その他、「ながさきソーラーネットプロジェクト」の取り組みや
「ながさきサステナプロジェクト」の取り組みについても紹介。
浜辺氏「ながさきソーラーネットプロジェクトで得た利益は、ながさきサステナプロジェクトを通して、市民に還元するシステムになっています。例えばサステナプラザながさきでは、環境に関する勉強をしたいという学校や学童向けに、推進員が講座として出前講座等を行っています」
浜辺氏「世界共通の目標「パリ協定」(2020年)、国の「カーボンニュートラル」宣言(2020年)を受けて、2021年3月17日、長崎市でも「ゼロカーボンシティ長崎」を長与町・時津町とともに宣言。宣言後は、推進計画の策定・電気自動車のための急速充電器の設置、脱炭素先行地域への選定など取り組んでいます。」
最後に2050年までの目標・戦略の4本柱について、長崎市民向けの補助金情報(現在は終了)についてもご紹介しました。
ファシリテーター 山中氏:
「恥ずかしながら、私も今回のオンラインイベントをきっかけに「自分の市はどうなんだろう?」とちゃんと調べました。自分が住んでいる市のことって意外と知らない。視聴者の方も、自分の住んでるところはどうだろう?と考えるきっかけになればと思います」
気候変動についてメディアに報道してもらうために・・・
名取氏によるゲストトークでは、気候変動について、Media is Hopeを発足したきっかけ、取り組みの理由などが語られました。
名取氏「私がこの課題に取り組まなきゃと思った一番の理由は、気候変動の限界点(ティッピングポイント)があるというところなんです。不可逆的に気候変動が加速し、後戻りができなくなる点と言われているのが気温上昇1.5℃。アマゾンの熱帯雨林の消滅だったり、北極や南極の氷が溶けるなど、本当に後戻りできなくなるポイントが迫ってきています」
名取氏「気候変動についての課題をメディアの中で活性化させることが必要だと思い、Media is Hopeを立ち上げました。メディアではない立場で、メディアを支えるポジションが必要だと思ったんです。
まずはメディアの人たちに会いに行きました。視聴者として、もっと気候変動の話題を放送してほしい!と伝え、実際にNHKに意見を取り入れてもらいました。」
名取氏「また、メディアの人たちに話を聞くなかで、様々な理由から気候変動の話題はメディアで扱うのが難しいということが分かってきました。もっとも難しい課題としては、気候変動や環境の話題は視聴率が取れず、スポンサーがつかないので、社内で稟議が通らないんです。
こういった話を聞く中で、Media is Hopeがメディアではない立場であらゆる課題にアプローチする、ということが形作られていきました。具体的には、気候変動についての話題提供、メディアの方とステークホルダーを繋ぐ、メディア同士を繋ぐ場を作る、など様々な取り組みを行っています。」
名取氏「視聴率が取れない、というのは私たち視聴者にも責任があると気づきました。視聴者、スポンサー企業、メデイアが協力体制をとることが重要だと考えています。」
名取氏「活動実績の紹介です。2023年には、テレビ番組4本、新聞紙面6本、オンライン51本の報道や記事を出すことができました。その中でも大きな実績となったのは、テレビ朝日で実現した特番です。公演を貸し切ってパブリックビューイングも行いました。ただパブリックビューイングをするのではなく《みんなでつくろう!再エネの日!》として研究者・有識者・若者と一緒にトークショーなどを行うイベントにしました。」
名取氏「既存の力を活かし、新しい仕組みをつくっていくということを意識しています。それぞれの立場の人達が、立場を越えて協力し合うことで、本当に大きなパワーが生まれると実感しています。」
名取氏「最後になぜ取り組むのか、というお話です。私はもともと人に楽しんでもらうことが好きで、ある一般企業に勤めていました。でも気候変動が深刻で苦しむ人たちが増えるということを知り、自分の夢である《人に楽しんでもらうこと》が夢で終わってしまうと気づいたんです。自分自身が好きなこと・大切にしているものに向き合っていくと、気候問題や社会問題に取り組まない理由はないんじゃないかと思いました。
皆さんもご自身の好きなもの・大切なものに向き合ってみると、気候変動と繋がって、自分ができることに結びつけて活動していけるのではないかと思います」
質問タイム
ゲストトーク後は、チャットからの質問&回答タイム。長崎市の取り組みについては、再エネルギー事業(ながさきソーラーネットプロジェクト)の採算性についての質問が挙がりました。
浜辺氏「ながさきソーラーネットプロジェクトは平成22年度から始まっていて、当時の経済産業省の固定価格買取制度が適応されていたので、事業者も市民も採算性はとれている状況です」
また参加者の方と一緒に、行動に移すきっかけがどう作られるかや、今の子ども達の学校教育の中で得られる情報量や自分たちの世代との違い、子どものうちに環境問題について知っておくことの大切さなどが語られました。
この後は参加者の方も含め、グループに分かれて対話会を実施。長崎市からは市内の大学生も参加しました。
全国各地・世代も立場も違う参加者同士で、それぞれ感想や意見がを交わす場となりました。
オンラインイベントのアーカイブ映像はこちらより視聴いただけます。
2024年8月には第2回目のオンラインイベントを予定しています。7月後半に詳細公開予定です。